Full Circle〜live 1988  ピエール・モルレーンズ・ゴング (1988)

Pierre Moerlen  drums,gongs
Hasford Rowe  bass
Benoit Moerlen vibraphone,marimba,mallet synthesizer
Stefan Traub   vibraphone,marimba,mallet synthesizer
Ake Zieden   guitar

1)       MC    0:36

誰かが喋ってます。誰でしょう?

2)       Second Wind (P.Moerlen)    6:32

アルバム「セカンド・ウインド」の録音はこのライヴの二ヶ月後からスタジオ制作に取り掛かることになっており、この時点ではまだ録音すらしてない未発表曲だったことになる。ほぼレコード通りのアレンジでノリのある曲だし、冒頭のMCといい、このコンサートのトップ曲だったみたいだが、レコードでもトップに持ってきて正解だったろう。

3)       Deep End (P.Moerlen)    4:49

これも、やはりこれからレコーディングする予定の未発表曲。いくらか音数が足りない箇所も見受けられるが、アレンジはこの時点でほぼ完全に決まっていたことが伺える。やや、演奏がクールすぎて、ゴングらしい熱っぽさが少ない感じか。

4)       Exotic (P.Moerlen)    8:54

3曲目も録音予定曲の未発表もの。初めてマリンバの音も本格的に加わる。電子マレットにシンセを連動したサウンドはレコードでは見えないぶん、イマイチ面白さが湧かないようで、キーボード奏者がメンバーに加わったのか、と思わせるのはゴングにとって損か得かは大きなお世話でしょうが、どうなんでしょう。でもピエールのドラムはエキゾしてると思いますよ。後半ではおそらくベノワとステファンがマレットの掛け合いをやってるんでしょうか?そして演奏が終わり、「サンキュー!」

5)  Leave It Open (P.Moerlen)    10:01

ヴァイヴとギターの繰り返しが眩暈を誘います。荒涼たる冬の河を遡っていく様が見事にとらえられています。もう少しアレンジが違えば当時席巻し始めていたウインダム・ヒルにも通ずるものがあります。そして、ハンスのベースでオシャベリ・タイム!ラストは水がコポコポ浮き上がるような面白い電子マレットの音の反復が印象に残りつつ、ピエールのドラムで見せ場タイム!へ。

6)       Drum Alone (P.Moerlen)    6:09

つまり、ドラム・ソロのことです。ピエールはライヴ盤でも毎回ドラムソロを収録するようです。バンド・マスターの張り切り具合が伺えます。

7)       Soli (H.Rowe)    9:22

誰かが冒頭でまた喋ってます。ギターの音色がボン・ロザガ・ヴァージョンとは違いますね。アーケが引っ込み思案なせいか、例によってハンスのオシャベリ・ベースが盛んに何か言いたそうです。でもオリジナルより、すっごーくお洒落でジャズゥーってアレンジもイケますね。ブルーノートでやってる感じのゴングもいいじゃん!オ・ト・ナ・の・ゴ・ン・グってのもワイン片手に堪能いたしましょう。

8)  Breakthrough (P.Moerlen)    6:56

銅鑼が響き渡り、ミニマル風のヴァイヴとギターから期待をさせるイントロですが、当時ピエールは自分の枠を突破したい、と真剣に考えていたようです。事実このタイトル曲のアルバム「ブレイクスルー」はジャケットに銅鑼(ゴング)の真ん中が激しく破れ、その向こう側には、抜けるような青空に鮮やかな色の気球が飛んでいたからです。あの気球に乗ってまったく別の世界へ行こうとした、ピエールの胸の内にあるいは?

9)       Xtasea (P.Moerlen)    6:09

ゴングは驚くほどにアレンジがスタジオヴァージョンそのまま、の生演奏が少なくないが、これも、オリジナルとさほど変わっていない。もう少しパワーがあると雄大なスケールになりそうな曲だけに型通りのギターで、もう少しはじけても良いのでは?アーケさんはハジケないギタリストなのでしょうか?だって、タイトルがエクスタシーなんですから、こっちも期待してるのですから、(あ、つづりが海seaになってるのはナンでだろう、何でだろう?)

私は日本盤で入手したのですが、オープニングのメンバー?の短いご挨拶の箇所が実際のCD盤では一曲目としてチャプターにメモリーされており、付属のカードに記載されてるカウントとは一つづつずれています。ここでは正確にCD盤の通りに曲目を書いておきます。従って、チャプターは9カウントですが、実際の演奏曲目は8曲です。

1988年6月ドイツ・ブレーメン公演の模様を抜粋収録したもので、実際の発売は10年経った1998年頃、しばらく御沙汰の無かった隙間を埋めるように、バンドとしては二枚目の公式ライヴ盤として発売されました。

顔ぶれはピエール(dr)、ベノワ(vib)モルレーン兄弟とハンスフォード・ロウ(bass)の3人がカードの裏にコラージュした写真で載っていますが、「セカンド・ウインド」のレコーディング・メンバーを予定していたステファン・トラウブ(vib)とアーケ・ジーデン(guitar)の二人が加わっています。

この直後の8月から9月にかけて「セカンド・ウインド」のレコーディングが始まる矢先であり、新曲を披露して観衆の反応を見る目的もあったのでしょう。

蛇足ながら、ピエールの使用したシンバルはパイステ社製とCDカードに記してあります。


Author:ハージェスト