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GONGZILLAインタビュー
インタビュアー:上田達郎
2004年9月18日


HR:
BL:
BM:
SA:
Hansford Rowe - bass
Bon Lozaga - guitar
Benoit Moerlen - vibes, marimba
Aliano - drums


Q: 日本に来たのは初めてですか?
HR: そうね、サム・アリアーノ以外はみんな初めてだね。
SA: 僕がトム・ジョーンズ・トリビュート・バンドで来たのは2000年だったな。
Q: バンドの歴史について教えてください。
BL: 僕がゴングに入ったのは「エクスプレッソ・」のレコーディングが始まった頃で、それから何年か一緒に演奏したんだけれどその後バンドが活動停止してしまったんです。それからはアメリカで色々やっていたんだけれど、93年にハンスフォードと再会してそこで一緒に僕のファースト・ソロをレコーディングし始めたんです。そのときにまたゴングをやろう、ということになって、ピエール・モエルラン、べノワ・モエルラン、それにアラン・ホールズワースを呼んだんだけれど最後になってピエールがキャンセルしたんで結局「ゴングジラ」ということになったんです。
Q: ゴングに入ったときには昔のメンバーは誰かいましたか?
HR: そうねえ、ディディエ・マルレルブとか、べノワ・モエルラン、ミレイユ・バウワー、それにもちろんピエール・モエルレンがいたなあ。
Q: ということはオリジナルのゴングとの接点はまだあったわけですね。
BL: バンドとしては僕が入る前から変わり始めていたんだと思うよ。デイヴィッド・アレンが抜けた「シャマール」のころからじゃないかな。
Q: その頃のゴングはピエール・モエルレンがリーダーだったと言われていますが、彼がメインに曲を書いていたわけですか?
HR: そう、彼がほとんどの曲を書いていたんだけれど、でもみんな作曲にはお互いにかなり加わっていたからね。元のアイデアを出したとか、曲の大部分を書いた人の曲、ということにしていたんだ。
Q: ゴングジラという名前はやはりゴジラゥら来ているんですか?
HR: そう、ゴングとゴジラの洒落なんだけど、アメリカでは、ゴジラから来たと思うんだけど、「ジラ」というのが大きくてパワフルなものの接尾語になっていて、それをゴングにつけたということです。バンドの名前って付けるのは難しいけど、同時になくすのも難しいよね。もう飽きたといっても残ってしまう。ピエールも「ピエール・モエルランズ・ゴング」についてはそういう気持ちだったと思うんだけど、僕らのバンドの名前としては使えなかった。「ピエール・モエルランズ・ゴング」にピエールが居ないってのは洒落にもならないからね。(笑)
それから日本のファンが昔の曲の重要性を思い出させてくれたんですね、だからこのツアーでは昔の曲を演奏する。僕らの音楽をより多くの人に知ってもらうためには何でもしなきゃね。インストルメンタルのプログレッシヴ・ロックをやっているバンドはみんなそうだと思うんだけど。

Q: ファースト・セットではゴングの曲をやるんですね。
HR: 「Soli」と「THR:ee Blind Mice」はいつもやっている曲で、「Soli」の方がやることが多いかな。「Jingo-Lo-Ba」も最近やり始めたんだけど、ライブ向きの良い曲だよね。
Q: それでゴングジラの曲をセカンド・セットでやるわけですね。
HR: 新曲もやりますよ。「French Grass」というまだアルバムに入っていないものもやるし、フランク・ザッパの「Peaches en Regalia」とかジミ・ヘンドリックスの「Castles Made of SA:nd」なんていうカバー曲もね。
Q: ゴングジラではどうやって曲を作っているんですか?
BL: みんな持寄りでアイデアをだして、それを全員で形にする、というかんじですね。
HR: 昔やったのと同じやり方だけど、曲のクレジットという点では逆のやり方だね。曲作りにはみんな参加するわけだけれど、クレジットは共作でゴングジラとしています。

Q: 少し個人的な質問ですが、普段はどんな音楽を聴いているのですか?
BL: シンガー・ソングライターものが多いね。
Q: ハッピー・ローズ(Happy Rhodes?)とか?
BL: そうそう、ハッピー・ローズとか。
Q: ハッピー・ローズとはどこで知り合ったんですか?
BL: 彼女の曲をラジオで聴いて凄く気に入ったので彼女のマネージャーに電話して僕のレコードで歌ってくれないかと頼んだのが初めだな。それから一緒にやってきていて、もうかれこれ10年です。彼女ってデイヴィッド・ボウイとケイト・ブッシュを合わせたように歌うでしょ?

Q: ゲイリー・ハズバンドと演奏することになったのは?
HR: ゲイリー・ハズバンドは1980年くらいから知っていて、アラン・ホールズワースと一緒にトリオで演奏していたりもしたんです。ゴングが解散した頃かな。それから「THR:ive」のレコーディングを始めたんだけれど、そのドラマーとしてゲイリー・ハズバンドがぴったりだったというわけです。それから一緒にライブをやって、そのあと「East Village Sessions」もレコーディングしたんだけれど今回のツアーでは彼はランディー・ブレッカーやジェリー・グッドマン他とやっている「Force Majeure」というバンドが忙しくて参加できなかったんです。それでもっとツアーで融通の利くドラマーがいないか捜したところ、サム・アリアーノが見つかったんです。
Q: サム・アリアーノはどうやって見つけたのですか?
HR: オーストラリアのCDディストリビューターからオーストラリア人ドラマーとしてはヴァージル・ドナティとサム・アリアーノが名人級だ、という話しを聞いたんですよ。それでサムのフュージョン・アルバム(注1)を聴いて、それから今年1月のNAMMショーで直接会った時に意気投合してそれで一緒に演奏しよう、ということになったんです。
彼は凄く上手いし、それにバンドに良く溶けこんでいる。というのも、このバンドに合う人はなかなか見つからないんですよ。技術の上にアメリカ的なものとヨーロッパ的なものと、プログレッシヴ・ロックを少し、ジャズも少し、フュージョンも少し、といった具合にいろいろミックスしていかなければならないわけですよ。さらに年中ツアーに出ていて一緒にやっていかなければならないわけでしょう、これが難しいんです。
SA: 僕としてはこの人達と一緒に演奏できるなんて本当に光栄に思っているんです。バンドに入ったときにはゴングの歴史もこのバンドのこともあまり良く知らなかったんですけど、ツアーを続けて行くうちに馴染んできてライブも段々良くなってきたと思います。新しいゴングジラのメンバーになれて嬉しく思っています。
Q: ホームページ上ではジョー・バーガミーニ(Joe Bergamini)と親交が深いとありますね。(注2)
SA: そうなんです。ジョーとは良い友達なんです。僕が以前アメリカのニュー・ジャージー州に住んでいた頃、もう一人のドラマー仲間に彼がすぐ近所に住んでいると教えられて、それ以来の付き合いです。彼のソロ・アルバム「Arrival」が出る前だったかな。彼はドラマーとしても上手い人で彼のバンド「4 Front」で何枚かアルバムを出しています。

Q: 98年のツアーではヴィック・スティーヴンス(Vic Stevens)がバンドに居ましたが、彼はどうしているのですか?
HR: 彼はコロラドに住んでいるみたいだね。まずロス・アンジェルスに引っ越して、それからコロラドかな。でも最近彼が何をしているのかあんまり知らないんですよ。しばらくはスコット・マクギル(Scott McGill)とマイケル・マンリング(Michael Manring)とレコーディングしてたけど。

Q: ゴングジラのほかにもいろいろとプロジェクトがあるようですね。
HR: 僕はソロとプロジェクト・ロウ(Project Lo)をやっているんです。そのうちまたソロ・アルバムを作るつもりなんですけど、あ、そうそう、新しいコンピレーションが最近出たんです。これはボンのソロ2枚と新曲2曲をカップリングしたもので、それで「Two plus Two」というタイトルにしたんです。でも今後2、3年はゴングジラの活動に集中して行くつもりで、来年ニュー・アルバムを出す計画を練っているところです。

Q: フェスティバルへの出演は?
HR: アメリカではやりますよ。結構出るつもりです。でもプログレッシヴ・ロックのにはもう出ないな。ジャム・バンドのフェスティバルが沢山あって、たとえばボナルー・ミュージック・フェスティバルっていうのがあって、モウ(moe.)とか、ストリング・チーズ・インシデント(String Cheese Incident)とか、ベラ・フレック(Bela Fleck)、プライマス(Primus)なんていうバンドが出るんだけど、若い人や年配の人も何千人も集まるんですよ。来年はそういうフェスティバルにもっと出たいと思っています。
ジャムっていうのは音楽のスタイルというよりはマーケティングのジャンルだと思うんですよ。たとえば音楽的にリラックスした、サイケデリックでヒッピーっぽい感じで、それに観客が政治的な教養があってそして音楽への関心が高くなんでも受け入れる余裕がある、という意味においては昔はヨーロッパなんかではゴングはジャム・バンドっていうことになっていたわけですよ。音楽シーンとして良い感じですよ。
ボンはこのあいだモウのライブに出演したんですけど、観客数7,000人ですよ。(注3)

Q: 今後の活動予定についてお話いただけますか?
BL: マイケル・カン、モウ、ストリング・チーズ・インシデントといった凄いゲストを入れたゴングジラの新作を制作中なんだ。前にも言った通り、ここ2年くらいはゴングジラとしてのツアーをメインに活動するつもりで、来年は香港やオーストラリアにも行くんだ。
HR: アジアでもっと演奏したいね。
Q: それぞれの楽器について伺いたいのですが、まずはハンスフォードから。フレットの位置がずれたベースを使っていますね、あれはどういう物なんですか?
HR: あのタイプのものはいくつか持っているんです。これは純正律(Just Intonation System)という調律方法を採用したものです。これは通常の十二音階(十二平均律音階)楽器とは演奏できないんですね。音階と、それから音階の間の度数が違っていて、調律の仕方も十二音階とは違うんです。そのせいで、ボンがあらかじめ打ち合わせた音階で弾いて、ボトルネック奏法などで普通の十二音階フレットのギターでは出ない音を出すようにしてくれないと一緒に弾けないんですよ。
時々そう言った形でライブをやることもあるんですが、あまり多くはないですね。私のソロ・アルバムではほとんどの曲、10曲中7曲はこの調律法で演奏しています。ニュー・ヨークでは純正律ギターの名人のジョン・カトラーと演奏しています。ゴングジラではヴァイブやマリンバといった十二音階楽器が入っているのでなかなか難しいですね。相当なお金をかけて純正律マリンバをつくれば話しは別ですけどね。
Q: MIDIヴァイブだったら出来そうですね。
HR: ああ、それなら簡単だね。
BM: でもそうすると思った通りの音が出ないことになる。
HR: つまりね、純正律では1オクターブの中に十二以上の音があるんですよ。これは倍音の等分(Harmonics Series)で構成されているんです。倍音は弦の長さのちょうど半分、4分の1、そのまた半分、といった振動の節にあるわけで、その意味では1オクターブの中に無限の音階が存在し得るわけです。いわば自然界の調律法ですね。
いくつかの音階は十二音階の音階と近いものもあり、また音階から外れて聞こえるものもあって、それから十二音階のなかには存在しない音階もある。自分にとってどう聞こえるかによって1オクターブの中にある音階の数を決める事も出来るんです。
そういうわけで自然が持つ調律法であり、純正律(just intonation = ちょうど良い音程)と呼ばれるわけです。倍音構造と合った音程なんですね。そうするとより多くの音階を持てるわけですからより多くの表現が可能になる。純正律で演奏するというのはそう言う意味があるんです。
テリー・ライリーやそのほか何人かの作曲家がこの調律法で曲を作っていて、他には私がジョン・カトラーと一緒に演奏したラモンテ・ヤングもそうです彼は非常にアヴァンギャルドな音楽を演奏しますが、でも他のスタイルも純正律で演奏できます。
例えばブルースですが、知っての通りブルースには十二音以上の音階がありますね。ブルースのスライド・ギターではいわゆるブルー・ノートを弾くわけですが、厳密には純正律ではなくて微小音階(Microtones)なんですが、それを使って音階と音階の間の音で気持ち良く響く音程を探り当ててそれをブルー・ノートと呼んでいるわけです。それも言ってみれば「ちょうど良い音程」なわけです。

Q: ボンはいつもパーカーのギターを使っていますね。それ一筋ですか?
BL: あれはもう弾いてない。
HR: 離縁しちゃったんだ。浮気が原因で(笑)。フレマス(Fremus)と出会っちゃったんだ。
Q: どういういきさつで?
BL: フレマスを弾いてみないかって言われて、気に入ったんでそれ以来弾いている。シングル・カッタウェイのレスポール・スタイルで、fホール付きのセミアコなんだ。
Q: パーカーはどのあたりが気に入っていたんですか?
BL: 軽量だと言うことと、トレモロ・バーが非常に上手く出来ているところだな。それにボディーに内蔵したホイールがあって、それでトレモロ・バーのテンションを調節できるところも良かった。でも今回のツアーでは使ってない。家に置いて来ちゃったよ。

Q: べノワはもうMIDIヴァイブを弾いていないんですね。なにか特別な理由があるのですか?
BM: マリンバとヴァイブのタッチと音の所為さ。MIDIヴァイブの音板はゴム製で、それに発音の遅れが付きまとう。マレット・キャット(Mallet Kat)を弾いていた頃は演奏よりも音を作るのに時間を費やしていたんだ。5年くらい前にマリンバを買ったんだけれど、すごく気に入っている。コンコードという日本製の素敵な楽器だよ。MIDIマレット・キャットより数段気に入っている。
HR: "East Village Session" はマリンバの音に捧げた作品なんだ。電子合成音は使わないようにして、すべてアナログの音で作ったんです。
Q: ゴングジラの他にはどんな活動をしているのですか?
BM: マリンバのソロや、ゴングにいたこともあるジャズ・ヴァイブの名手シュテファン・トラウプ(Stefan Traub)とのデュオ、それに私の父がピアニストなので彼とのデュオもやっている。

Q: サムはゴングジラで演奏することについてどう感じていますか?
SA: バンドが非常に良い状態なのですんなり行ける感じですね。ボンとべノワが曲を展開する中でハンスフォードと演奏するのはやりやすい。ハンスフォードが前に言っていた点なんですが、私はオーストラリア生まれで、一部イタリア育ちで、今はアメリカに住んでいるわけです。方々へ旅行して、そしてヨーロッパやアメリカやオーストラリアのそれぞれのスウィング感を身につけて、色んな音楽に応用できるという事がゴングジラで演奏する上で非常に役に立っていると思います。
べノワはフランス出身で、ボンはアメリカのフィラデルフィア、ハンスフォードは今はモントリオールに住んでいて、私はロサンジェルスに住んでいるわけで、そうした出身や生活環境がゴングジラの音に大きく影響していると思うんです。そういうわけでバンドに溶け込むのは楽でしたね。難しかったのは昔の曲を覚えることでした。でもそれは別にして音としてはすでに出来あがっていたわけですし、それが一番重要なことでしょう。
このバンドに入る前はフュージョン・バンドにいたんです。私のバックグラウンドとしては、アラン・ホールズワースともツアーをしていたし、プラネットXともやっていて、それにチャド・ワッカーマンのライブのサポートもしていました。

Q: どうもありがとうございました。
HR: いいえ、こちらこそ。

注1  Sam Aliano "Emalgamation", 2001, Vorticity Music VM011801-1
注2  ジョー・バーガミーニは先ごろ再結成したハッピー・ザ・マンに加入。詳細についてはwww.joebergamini.comを参照。
注3  2004年7月23日に行なわれたこのライブは会場録音が公式に許可されており、以下のウェブサイトで全編ダウンロード可能。
インタビュアーは、アメリカで2回GONGZILLAのライブを見ている。