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19/09/2004
東京ライブ!
朝、約束した時間にホテルの前に迎えに行くと、サムがぽつんとホテル前のガードレールに座っていた。
あれー?みんなまだ寝てるの?と言おうとしたら、ブノアがにまにまと笑いながら登場。やはりあとのふたりはぎりぎりまで充電なのかな。
そう思ったら、後ろから声が。振り返ると昨日ホテル前でばったり会ったセイビアンの彼が、道の向こうからやってきたのだ。サムが驚いてあれ?時間は?と問う。昨日確か彼は今日はもう香港に帰ると言っていたのだ。
今日、もうこれからオレチェックアウトしたら成田だからさー、会いにきたの、といってサムとまたがしっとハグ。がんばれなー、またなー、と言って
去っていった。な、あいつイイヤツだろ?とサムが我々に言う。ウン、そうだね。
朝ゴハンは済ませたの?と訊くと、食べたけど、キョーコまだなら一緒に食うよ、オレはいつもおなかすいてるんだもん、とサム。他の二人は?と訊いたら、コーヒー飲みたいっていって出てった。とのこと。ブノアはにこにこしながらタバコを吸っている。
ほどなく二人も戻ってきて、サポートスタッフも揃い、タクシー2台に分乗して会場へ行くことになる。彼らの装備は少ない。感動的なぐらいコンパクトだ。サムのシンバルの多さと、ブノアのバッグからはみ出しているマレットがちょっと目を引くぐらいで、ボンもハンスフォードも楽器ケース持っただけ、という感じ。今回会場とホテルが至近なので、サウンドチェックした後は、一度ホテルに戻ってシャワーを浴びると言っているから、衣装なんかがあるとしてもそれは今は部屋にあるのだろうけれど、それにしても軽装備。ミュージシャン4人、スタッフ3名が2台のタクシーで足りてしまうのだ。荷物は全部タクシーのトランクに納まってしまった。
タクシーに乗り込む直前にブノアがにやっと笑って、さーて、さてさて、というような感じで手を擦り合せた。
会場につくと、ハンスフォードが、んー、いい感じじゃん、というようなことを言い、他のメンバーも満更でもなさそうな顔をしている。昨晩ブノアが、アメリカツアーの時には、一度なんかねー、ステージが狭くって、オレ、客席で弾いたりしたんだよー、なんて言っていたから、断然いいじゃん、ってことなのだろう。会場ではドラムセットの設営が始まったところで、ブノアのためのマリンバやビブラフォンはまだ到着していなかった。
昨夜ハンスフォードが教えてくれたけれど、ブノアは自宅にひとつの鍵盤(というのかな、木片のことです)が30万円もするローズウッドの極上品のマリンバを所有しているという。本人にきいたら、「うん、すっごくいいんだ、気に入ってるのー☆」ということだったから、(ブノアはあまり英会話が得意でないから、コトバよりニュアンスでお話するので、日本語で書くとこんな感じで喋っているように感じます。)他人事ながら、今回日本で使用するマリンバがどんなものだかとても気になっていた。ブノア自身から、アメリカツアーの間は、いつも大きなマリンバがなくて、ちっちゃいのしか借りられなくて、つまんなかったよん、と聞いていたし。
東京ではいいマリンバをレンタルできたとポセイドンの増田さんから聞いているよ、と言ったら、ウン、たのしみー(^^)といいつつ昨夜は夜の新宿繁華街へ消えていったブノア…




サム、ドラムのできあがるのを待つ間ポールを叩いております。↓
マリンバの設置場所を気にするブノア氏↑
待望のマリンバが到着するや、レンタル会社のスタッフ達が
セットするのも待っていられないのか、
もしくは彼らの楽器の取り扱いが見てられなかったのか
(ちょっと慣れてなかったようではありました、確かに。)
レンタル会社スタッフの慌てるのも意に介さず、さっさと自分で
マリンバもビブラフォンも組み立ててしまい、音慣らしを
始めてしまった。もうレンタル会社のスタッフの言うことなんか
聞いちゃいない。
レンタル会社さんは、楽器と一緒に一組だけ硬いマレットを
持ってきていたが、ブノアの山のようなマレットを見て、
この撥いらないすかね?と自分達の持ってきたマレットを引っ込めようとしたのだけれど、ブノアに訊いたら、「うん、使う」というので置いていって貰うことにした。確かに、ブノアは同種のマレットは持ってきていなかったし。
く、くれぐれもこのマレットは演奏終了後返却お願いします
と、思いっきり不安そうにレンタル会社の人たちが立ち去っていったあと、べろべろべろべろーんと端から端までマレットでマリンバを撫でて音を出した後、ブノア氏は、にこーっと笑い
Now, I'm happy!
と言った。


それを聞いて、こっちもうれしくなってにかにかしてたら、後ろからサムがやってきて ぱんと軽くわたしの肩を叩いて、おい、これ今から上にあげるから手伝ってくれよ、とマリンバを指差すので、よっしゃ、と思って手荷物をそこらにおいて、マリンバに手をかけたら、サムがじょーだんだよキョーコ、キョーコにこんなんもてるわけないじゃーん、真にうけてやんのーと笑い出した。
なぁにを言うか、持てるわーい…。



←ブノアの腰のウエストポーチには
タバコが入っております。いつでもこのポーチだけは手放さない。

皆特にナーヴァスになるでもなく、淡々と準備を進めている。進めるといっても、ライブハウス側の準備が先行するから、ぼーっとそれが済むのを待ったりしているのだけれどそういう間も、特に気持ちがとがってくるということもないようだった。
実は、彼らが来日してから、初めての日本公演だというのに、初めての訪日だというのに、しかも前回のツアーからほぼ1週間近く音を出していないと言うのに、全く音だしをしたがる様子もなければ、彼ら同士の会話でも、音楽のことはいっさい話題に上らないので(別に避けているようでもなかったし)各自それぞれのペースを過剰に気遣うこともなく乱すこともなく、程よく距離を保っているのを感じるだけで、良くも悪くも全く緊張をしているような様子を感じることがなかったので不思議に思っていた。まったく力の抜けたようなユルユルな感じで、いったい本当にこの人たちライブやるんかいな、とすら思ってしまうような弛緩ぶりだったのだ。それは今この場でセッティングしている時でも同じだった。無理して平常心を保っているというふうでもないのだ。こんなに弛緩してていいのかな。いつスイッチが入るんだろう。

 ↓ぼんの足元はこれだけ。シンプル。
キョーコォ! とハンスフォードが呼ぶので、ステージに近寄っていったら、ライブハウスのスタッフにこのアンプの下のスピーカー直せと言ってくれ、壊れてるよ、という。それでそうスタッフに伝えると、「いや、壊れてるんじゃないんですけど、ただちょっと音が弱いんですよね…」という返答。うーん、それって、故障じゃないのか?とは思ったけど、修理できないと、音は出てるけど弱いんだと言っている とハンスフォードに言ったら、彼も一瞬???な顔をしたが、まいいや、それなら別の方法があるさ、サンキュ、と軽くあっさり諦めてしまった。ええ、いいのかな、だいじょうぶなのかな、とにわかに不安になるわたしを尻目に、いきなりアンプの後ろに回り、なにやら回線を弄り始めた。
その脇で、ボンがさくさくと自分の準備を続けていた。
出かけるときに、荷物少ないね、と言ったらハンスフォードと口を揃えて沢山持ってきても疲れるだけだもん、と言っていただけあって、スペアの楽器も持ってきていない。アクシデントがあったらどうするの?と聞いたら、そりゃそんときのことさー、と言っていた。自分で運びきれない荷物は持つだけ無駄だとも言っていた。カッコいい。
サウンドチェックもさささっと終わってしまった。
冒頭に演奏する曲の最後の終わり方だけちょっと打ち合わせした程度で終わってしまった。マイクチェックをするときに、ブノアがチューブラベルズの冒頭部分を弾きだして、ハンスフォードがにやにやしながら何か言っていたが、終始冗談交じりでこんなにあっさりしたサウンドチェックも珍しいと思った。
サウンドチェックが終わった後、彼らが一度ホテルに戻るけど、キョーコはどうするの?というので、あなた方がホテルに戻ったり動き回るのに私が必要なら一緒に行くよ、と答えた。わたしははたでみていて、だんだん不安になってきていたのだ。彼らのテンションのあげかたのタイミングがわからない。彼らの彼らなりのスイッチの入れ方があるだろうから、始終かれらにひっついていたら、コンディション調整の邪魔してしまうのではないかと思い始めたのだ。だから、本番直前に、(もちろん野次馬根性で「いつスイッチがはいるんだろう、その瞬間が見たい」と痛烈に思っていはいたけれど、)彼らが必要とするのでなければ傍にいるのはよそうと思ったのだ。わたしの拘泥を知ってか知らずか、
ハンスフォードが言った。
「キョーコはついてこなくても大丈夫だよ。俺らはちゃんとホテルまで帰れるし本番までには戻ってくる。キョーコが付いてきてくれても、俺たちシャワー浴びるのをロビーで待っているしかないわけだから、それは退屈だろ、またあとで会おうぜ」
ううむ、これはわたしに気遣ってくれているのか、それとも直前の瞬間は各自勝手にやりたいということなのか、どっちだろうと思ったのだけれど結局ハンスフォードの言葉に従って「じゃ、あとでね」と答えて本番直前までわたしは彼らのステージ用の飲料水を用意したり、近くのコーヒーショップで他のスタッフとやくたいもない話をしたりして過ごしたのだった。

やがて、客入れ寸前に会場に戻るとブノアがふーらふらと客席やステージを漂うように徘徊している。もしや酔っ払っているのかと思ったけれど、「飲んでないよアトで飲むもーん☆」と言う返答。それでも、結局お客さんが会場内に入ってきていても徘徊を止める様子はなく、そのままオープニングアクトの途中までウロウロしていたみたいだった。もうこちらは物販にとりかかっているので、ブノアの行方を気にしているヒマはない。本番直前、ソデで彼らに水を渡す時にブノアの姿がなかったら、客席を探すしかないと腹をくくる。
ソデに水を抱えて走っていくと、ハンスフォードがキョーコったら、どこにいたんだよぉ、と言いかけ、わたしが水のボトルを抱えているのを見ると、「Oh, right place, right time, always!」と言ってにっこり水を受け取ってくれた。ボンもにっこり、サムもにっこり+ウィンク。そこへブノアが現れた。片手にマレットのバック、片手に缶ビール。
「えー、ブノアyou said after, didnt,you?」
「へへへへぇ、いえぇえす!」…まったく。
けれど妖怪ブノアの超絶演奏は皆さんご存知のとおり。
さすが、ワインが水がわりの国の人。
結局、このソデで彼らに会ったのが本番直前最後、この時もスイッチは入っている様子はなかった。
本番、受付から撮った携帯電話での写真です。↓
水を渡して逃げるように袖から客席へ戻る途中、会場の明かりがふっと落ちて、ステージが浮かび上がった時、わたしは急いで物販席に戻らなければならなかったのだけれど、、思わず足を止めて2階席から彼らの姿を見ていた。
最初の音を聴きたかったからだ。音を出すその直前に、彼らのスイッチが入るのを見届けたかったからだ。
ステージの上の空気が、しゅっ、と締るのが見えるような気がした。サムのハイハットが始まった。


本番が終了する間際、またわたしは物販を他の方に任せ、今度は冷えたビールとコーク(コークはハンスフォード用)を持って、楽屋に向かっていた。だから、最後のアンコールの最後の部分は楽屋で聴いていた。最初に上がって来たのはハンスフォードで(彼はコードをアンプから抜けばいいだけだからね)おつかれさん、いいショーだったよ、とコークを出すと、あー、今まで誰もこうやってコンサートの後でもいつでもコークを出してくれるヤツなんていなかったぜ、いつでもビールだったから、オレはいつでものどが渇いてたんだ!サンキュー!と言ってコークを飲み干していた。(だって、ハンスフォードが飲めない人だとは誰も思わないよ、その外見からいっても、ねぇ。)ブノアも、もうさんざん飲んでるでしょうが、あーたは、と思うのに「うにゃー!」とかいいながら飲み干し、2部からは水ではなくビールに切り替えていたぼん、ちゃんとさいごまで水を飲んでいたサムも美味しそうにビールを飲み干してやぁ終わった終わった、というハレバレな顔に戻っている。
この日のメニューは休憩を挟んでの2部構成だったのだけれど、休憩時間中は、メンバーがふらふらと会場に出てきて物販のアピールに努めたりしてて、お客さんもけっこう驚いていたように思う。
今夜で彼らともお別れかと思うとちょっとなごり惜しい。有形無形、本当にいろいろと勉強させてもらいました。
改めて、あなたたちのファンになったよ。