Second Wind ピエール・モルレーンズ・ゴング Pierre Moerlen
drums,synthesizer
1) Second Wind (P.Moerlen) 6:05 タイトル狙い、と思いきや長年ファンを待たせた甲斐のある意気込み充分のグッド・チューン。恐らくヴァイヴのワン・フレーズから捻り出していくピエールの感性に実弟ベノワが得意技を駆使してヴァイヴソロを発展して完成したであろう、彼ららしい佳作。 2) Time And Space (S.Traub) 5:27 ドイツ人の新メンバー、ステファン・トラウブ(vib)の作品。 アーケ・ジーデン(guitar)が影ながらもよくフレーズを効かせたヨーロッパの響きが冴え渡る。リフでキープされるパートになると、ハンスはすぐソロしたがるクセが出るのがよくわかる。 3) Say No More (B.Moerlen) 5:32 今回ベノワが使用しているマレット・キャット(Mallet Kat)なるシステムとは、電子式の音板が木琴の様にズラリと並べられ、マレットで叩くと信号がシンセサイザーを経由して様々な音色が出る、のだそうです。CDで音だけ聴いても、いわゆるピアノ鍵盤のシンセサイザーと区別は付け難いが、ひとつの音盤をアクセントを付けながら連打するようなフレーズには手の指で弾くピアノより、マリンバの方がやり易いかも。
4) Deep End (P.Moerlen) 4:18 まるで外国のテレビドラマで流れそうな曲である。エキゾチックもはいっているが、ちょっとドタバタ風のコメディーな番組なんかを連想します。 5) Crystal Funk (Mobus-Fischer) 4:32 このヒトも新メンバー、フランク・フィッシャー(keyboards)の作品。 シャカタクの世界です。どこにもゴングのゴの字はありません。後半のピアノソロ、もろシャカタクです。あちゃ〜おまけにシンセもシャカタクですう〜 皆さん、シャカタクって御存知ですか〜
6) Exotic (P.Moerlen) 5:46 あれれ。まるで前曲の引き続きみたいな、でもピエール作曲?ピアノソロはやっぱりシャカタクなんですな、これが。メドレーにしちゃっては、ますますフィッシャーの曲と変わらないような?こんなことでゴングはいいんだろうか?一応エキゾチックなマリンバが一皮つないでますが。フィッシャーさん、シャカタク好きなんですねえ。
7) Beton (P.Moerlen) 3:51 おおっ、ピエール炸裂!ベノワのマリンバ絶叫!ナンだかバリバリのロックにも聴こえる! 電子マレットソロもあります。最後はドカ〜ンで締め!
8) Alan Key (H.Rowe) 5:34 ハンスの作品。実はゴングジラ1stアルバムでもう一度「Allan Qui?」として6年後に録り直されることになります。私はてっきりアラン・ホールズワースのことだと思ったのですが、スペルにエル(L)が一つ足りません。始めはホールズワースをゲストで弾かせよう、とした曲では?と思ってるのですが?この時は実現せず、タイトルだけがこうなったのでは?ぜひ聴き較べてみましょう。 9) Crash & Co,The First (P.Moerlen-A.Sanguinetti) 5:50 右チャンネルがピエール,左チャンネルをもう一人のドラマー、アレックス・サングネッチを迎え、2人がドラム・バトルをLPレコード一枚分でここから続けて3曲、計31分にわたり、叩きまくってます。ただし、ゴング時代のステージでやるようなソロとは幾分か異なった演奏のように聴こえます。 10) Crash & Co.The Second (P.Moerlen-A.Sanguinetti) 8:48 意識していくつかのドラム・パターンを組み合わせているようです。ただし演奏そのものはセえのぉーの一発録りではないでしょうか。全体的に前押し一辺倒のプレイで「引き」が見られない、間を空けない、いわゆる楽器屋さんのイベントで「ドラムはこう叩く」みたいなデモンストレーション演奏の教則サンプルの側面が感じられます。 11) Crash & Co.The Third (P.Moerlen-A.Sanguinetti) 15:29 昨年、久しぶりに往年の名作「嵐を呼ぶ男」を観て参りました。「オイラはドラマ〜、ヤクザなドラマ〜、オイラが叩けば嵐を呼ぶぜ〜」裕ちゃんはもうひとりのドラマーとドラム合戦に挑んだワケですが、結局は歌ったほうが勝ち!ドラムで歌うか、声で歌うかはその人によるのですね。 で、以上三曲続けてピエールとサングネッチのドラム合戦をお聴き戴きました。 1988年の9月から10月にかけてクレア・スタジオ(当時まだ西ドイツだった)で録られた久しぶりのピエール・モルレーンズ・ゴングの作品。LPレコードでは2枚組だった。メンバーはピエール(dr)ベノワ(vib)モルレーン兄弟、ハンスフォード・ロウ(bass)の必殺トリオにステファン・トラウブ(vib)、ゴングの活動を一旦停止していた間、ピエールが参加していたスウエーデンの「トリビュート」にいたアーケ・ジーデン(guitar)を呼び寄せ、更に一時期は専任キーボード奏者は置かなかったゴングだが、結局フランク・フィッシャー(keyboards)を起用する、という布陣となった。 ピエールはSONORのドラムキットとPAISTEのシンバルを使用した、と記してある。ハンスはWARWICKのベースギターをプレイしたとある。更にラジオ・ブレーメンという放送局にてマイクという人物のはからいで、スタジオにあったマリンバを調達できた、とも書いてある。 LPサイズのジャケットや内袋に記載されているクレジットを読むと、いろんなことが読み取れる。最近のCDはいわゆるパッケージになってしまい、限られたスペースにあまり細かい文字でビッシリ印刷することが好まれないのか、作品についてのデータ分量は少なくなってきたように感じる。 更にアンケさんという女性からコーヒーと食べ物のサービスを受けた、と感謝の辞が述べてある。彼女の差し入れた茶菓がおいしかったのか、特に冒頭のタイトル曲は素晴らしい出来となっている。 なお、アナログLP2枚組だと1〜8曲目までのバンドでの録音が一枚目に、9〜11曲目のピエールとアレックスのドラム・セッションが二枚目に収録されていた。 この後、ピエールはブロードウエイ・ミュージカルの専属契約ミュージシャンという新たなる仕事へ活動の場を移した為に、ピエール・モルレーンズ・ゴングとしてのバンド活動は長期に渡って休止状態となる。
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